2013年12月

今月の初めに新しい本（『みんなママのせい？』（静山社）を出版いたしました。新刊といっても、実は15年前に出版した『子育てと出会うとき』（NHKブックス）を一部加筆修正した文庫本化です。文庫本化のお話をいただいたとき、正直、躊躇する思いがありました。10数年前に書いた本が、今の方に読んでいただけるだろうかという思いがしたからです。

でも、この話をお持ち下さったのは、若い編集者の方々でした。古書店で見つけて、新鮮な印象を受け、是非、今の若い母親たちに届けたいと思った、と熱い思いを語って下さったのです。たしかに育児グッズや母親のファッションには時代相応の変化はありますが、子育ての悩みや惑いはさほど変わっていないことは、育児相談などに携わっていて考えさせられます。国を挙げて子育て支援施策が大きく動いている今だからこそ、育児の底流にある不変の課題を見つめ直してみたいと思います。

かつて子育てに悩み苦しんだ世代の方には、当時のご自分を振り返って、今の世代への支援の必要性を改めて考えていただけたら。今、子育てに奮闘している若いママたちには、先輩世代が苦しみながら懸命に訴えた声が子育て支援の扉を開け、今日へと道をつなげていただけたことを、知っていただきたいと思います。そうして「支え・支えられてお互い様」の心が、世代を超えて共有されることを願っております。