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2016年7月

今月の初め、小学2年生の男の子が北海道の山中で置き去りにされた事件が大きな話題となりました。6日ぶりに無事保護されたというニュースに日本中の人がほっと胸をなでおろしたことでしょう。ことの発端は言うことをきかなかったので、父親がしつけのつもりで車から降ろしたとのことです。暗い山中に一人で置いていかれたこの子の胸中を思うと、いたたまれない思いです。

今回、この親がとった行動は一歩間違えば命に関わる事態にもなりかねません。明らかに「しつけ」の域を脱しています。ただ、ここまでではなくとも、聞き分けのないわが子についカーッとなって、子どもに厳しい叱責をしてしまうことは、だれにもあるのではないでしょうか。大切なことは、それを「しつけだった」と正当化しないことです。親も完璧ではありえません。間違った対応もすることでしょう。「しつけだった」と言い訳をすると、自分の言動を率直に反省する機会を失いかねません。もう一つ、しつけは親だけでできるものではありません。昔は、たとえば親に叱られて家を出された子をお隣の人がかくまってくれる、などというネットワークもありました。

今回の事件は、親も地域の私たちも省みるべき教訓をたくさん与えられたことだったと思います。     

施設長 大日向雅美