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2007年4月

桜の季節を終えて、まもなくさつきの頃。春たけなわです。

先日、「風流」について、面白い記事を読みました(毎日新聞4月13日)。一般的に風流と言う言葉は花鳥風月を愛でる心を指して用いられていますが、禅の世界では「いつもの自分と違う心の揺らぎを感じるときのことを指す」のだそうです(玄侑宗久氏)。玄侑氏と対談した落語家の立川志の輔氏は、「トイレに行くときに転んで膝を打ったり、ゴルフでミスショットを打ったときでも、風流だと思えば心にゆとりがもてる」と、受けておられました。

生来、粗忽者で、失敗ばかりしている私などは、これまで、まさに「風流」三昧の日々を送ってきたわけですが、老いを痛感する今日この頃は、志の輔さん同様、風流の心意気で過ごそうと、思いを新にいたしました。
さて、いつもとの違いを実感することを風流と言うのであれば、子どもこそ、究極の風流な存在かも知れません。日々、心も体もめざましく成長していますから、一日として同じ日はありません。いたずらや失敗を繰り返すわが子を前にして、思わず悲鳴を上げたくなったときは、一呼吸置いて、禅の心を思い出してみませんか。きっと、花鳥風月に負けないくらいすばらしい景色を子どもは堪能させてくれることでしょう。

施設長 大日向雅美