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2015年7月

色とりどりの短冊が笹の葉になびく光景が街のあちこちに見られるようになりました。

七夕の季節を迎える度に、私は『ジョイ・ラック・クラブ』という古い映画を思い出します。20世紀初めのサンフランシスコを舞台に、さまざまな苦難を背負って中国から移住してきた4人の母親とその娘たちとの葛藤と心の絆を描いた作品です。それぞれに人生模様は異なりますが、共通しているのは娘に寄せる母の期待の大きさです。母の期待に必死に応えようとしつつも応えきれない娘たちの苦しみ、それゆえに母に抱かざるを得ない複雑な感情に揺れる娘たちの姿は、何度みても胸が痛くなります。しかし、ラストシーンで一人の母親が娘にこう言います。「私はお前に期待をしたのではない。お前の幸せを願ったのだ」と。母親はこの言葉を残して、程なくこの世を去りますが、母はけっして娘を思い通りに操ろうとしたのではなかった。子どもの長所も短所も見極めて、その幸せを願ってくれていたのだと気づいた娘が、新たな人生に向けて旅立つシーンが印象的です。わが子に寄せる親の「期待」と「願い」の違い。私自身、二人の娘の母として、自戒を込めて思い出すシーンです。        

さて、皆さんはどのような願いを短冊にお書きになりますか。

施設長 大日向雅美